モモちゃんのGHT日記(随時更新)

2015年と2016年の2年に分け、グレートヒマラヤトレイル(GHT)アッパールート1,700Kmを歩いた134日間の呟き

チェビさんの国、グレート・ヒマラヤ

 ネパール東西横断1,700Kmを歩いた。チベット寄りの山岳ルートをグレート・ヒマラヤ・トレイル(以下GHTと略す)、アッパールートと言う。2011年10月にネパール政府が公式開通を報じた。ガイドしてくれたのはチェビさん。ボテ族で、祖父母の代にチベットからネパールへ移住して来たそうだ。134日をかけ延べ5人のポーターと共に、私達は最高高度6,190mを越えた。簡単な服や靴で重荷を背負うポーターの為に(否、私の為だったりして)ロープを張り、氷河を渡り、クレバスに飛び込んだラゲッジを30m下りて回収し、41の峠を登って下り、8千mの巨峰を皆で仰いだ。日本では見たことの無い圧倒的な青さの空。その青を切り取ってエベレスト、ローツェ、ローツェシャールの白い峰々が群がって聳える。美しかった。正しく神の座だと思った。                              

 ジャングルでキノコを採り、ククリで伐り出した竹の芽を折り、自生するイラクサやクレソンを摘んでカリーにし、屠られたばかりの水牛の肉を買い、食べた。みな、激しく辛いコルサニ(青唐辛子)で味付けされてしまったけれど。夜はジャッカルの遠吠えに怯えながらテントに伏し、巨大な岩屋や民家、納屋にも泊まる。稗やトウモロコシ、大麦や米で出来たチャンにトンバを呑み、歌い、踊った。エージェントで最後の精算をした時「呑み代かかり過ぎ。こんなに呑んだグループはいません。」と、呆れられた。

 ネパリは朝、目覚めるなり歌い出す。氷点下の朝に半袖シャツ1枚で40Kgを超す荷を担いで歩き出す。肉体も精神も強い。

 幾つもの夜、幾つもの朝を共にし危険地帯を通過して命を分かち合い、国や言葉の壁を越え私達は友となった。グレートだったのはヒマラヤ山脈だけでなく、強烈な太陽の下で大地と水、火と風を操ってここに暮らす高地山岳民族でもあると知った。豪華で贅沢で幸せな旅が終わった。